走り幅跳びの世界記録は何メートル?男子と女子の記録と保持者を解説

走り幅跳びは、助走をつけて踏み切り、砂の上に着地した地点までの距離を競う陸上競技の跳躍種目です。全国体力テスト(スポーツテスト)ではかつて走り幅跳びが実施されていましたが、1999年からは立ち幅跳びに変更されました。今でも50m走と並ぶ馴染みの種目の走り幅跳びですが、その世界記録は驚くべきことに、男子も女子も1980〜90年代に樹立されたまま破られていません。今回は世界記録の内容、記録が生まれた舞台、そして更新の可能性について、2026年現在の情報でまとめました。
走り幅跳びの世界記録【男女別】
まずは結論を表で確認しましょう。いずれも2026年10月現在も公式記録として保持されています。
| 性別 | 記録 | 選手 | 国籍 | 日付 | 場所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男子 | 8m95(+0.3) | マイク・パウエル | アメリカ | 1991年8月30日 | 東京(国立競技場) |
| 女子 | 7m52(+1.4) | ガリナ・チスチャコワ | ソビエト連邦 | 1988年6月11日 | レニングラード |
なお、記録が認められるには追い風が秒速2.0m以内であることが条件です。8m95は畳約5枚分に相当する飛距離であり、室内の世界記録は、男子がカール・ルイスの8m79(1984年)、女子がハイケ・ドレクスラーの7m37(1988年)で、こちらも40年近く更新されていません。
男子世界記録はパウエルの8m95
走り幅跳び男子の世界記録は、1991年に東京で開かれた世界選手権で生まれました。この日の決勝はカール・ルイスとの一騎打ちとなり、4回目の跳躍でルイスが8m87をマークし、先にリードを奪います。
しかし5回目の跳躍でパウエルが8m95を記録。ボブ・ビーモンが1968年のメキシコオリンピックで樹立した8m90を、23年ぶりに塗り替える大記録となりました。1つの決勝で8m90を超える跳躍が2度見られたのは、現在もこのときだけです。
パウエルはこの世界選手権で優勝すると、1993年の大会も制して2連覇を達成。オリンピックでは1988年と1992年に銀メダルを獲得しています。記録が生まれた国立競技場は建て替えられ、東京2020オリンピックの舞台にもなりました。
女子世界記録はチスチャコワの7m52
走り幅跳び女子の世界記録は、ガリナ・チスチャコワが1988年6月にレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)で記録した7m52です。1962年生まれのソビエト連邦の選手で、記録樹立の年に行われたソウルオリンピックでは銅メダルにとどまりましたが、世界記録自体は現在も破られていません。
出典:t2sqgat
当時はソビエト連邦や東ドイツを中心に女子の跳躍記録が続出した時代でもありました。歴代2位のジャッキー・ジョイナー・カーシーの7m49も1988年の記録です。つまり女子は7m50台の記録が1988年以来、一度も出ていない計算になります。
なぜ30年以上も破られないのか
世界記録が長く残るのは、走り幅跳びだけではありません。跳躍系の種目は全体的に往年のレジェンドの記録が残りやすく、三段跳びの世界記録も、1995年にジョナサン・エドワーズがマークした18m29から30年近く更新されていません。
その背景には、走り幅跳びが「走る速さ」「踏み切りの正確さ」「空中での体の扱い」といった複数の要素を同時に極める種目だということが挙げられます。スパイクやトラックの進化が記録を大きく伸ばした短距離とは対照的に、世界トップクラスの選手でも歴代上位に並ぶ記録はごくわずかなのです。
トラック種目にも例外的に残る記録があり、男子100mの世界記録は2009年の9秒58が今も破られていません。
日本の記録と東京2025世界陸上
日本記録は、男子が城山正太郎の8m40(2019年)、女子が秦澄美鈴の6m97(2023年)です。橋岡優輝も8m36(2021年)をマークしており、日本のトップ層の記録争いは続いていますが、世界記録との差は55cmと大きく、世界の壁は厚い状況です。
2025年9月の東京世界陸上では、イタリアのマッティア・フルラーニが8m39で優勝しました。日本からは橋岡優輝が出場しましたが、予選で7m95にとどまり、決勝進出を逃しています。
世界記録はいつ破られるのか
記録更新の最有力候補と目されるのが、ギリシャのミルティアディス・テントグロウです。東京2020とパリ2024のオリンピックで連覇を果たし、2023年の世界選手権でも優勝した実力者で、自己ベストは2024年に記録した8m65です。
2026年に入ると7月のモナコ大会で8m61を跳び、続くギリシャ選手権では8m66をマークして自己ベストを更新。8m60を超える跳躍を1試合で3度記録する安定感を見せています。本人も「大きな跳躍は今年中に起こると信じている」と話しており、パウエルの記録に肉薄する存在として注目を集めています。若手では東京2025世界陸上を制したフルラーニ(イタリア)らの成長も期待されます。ただし8m90台は1991年以来出ておらず、残る約30cmは容易に縮まる距離ではないでしょう。
| 年 | 記録 | 選手 |
|---|---|---|
| 2021 | 8m60 | テントグロウ(ギリシャ) |
| 2022 | 8m55i | テントグロウ(ギリシャ)※室内 |
| 2023 | 8m54 | ピノック(ジャマイカ) |
| 2024 | 8m65 | テントグロウ(ギリシャ) |
| 2025 | 8m46 | テントグロウ(ギリシャ) |
| 2026 | 8m66 | テントグロウ(ギリシャ)※7月時点 |
まとめ
走り幅跳びの世界記録は、男子がマイク・パウエルの8m95(1991年)、女子がガリナ・チスチャコワの7m52(1988年)で、いずれも30年以上破られていません。近年はテントグロウらが8m60台後半まで迫っており、記録が生まれた舞台の東京で次の歴史的瞬間が見られる日も遠くはないかもしれません。世界記録の行方とともに、日本選手の跳躍にも今後注目が集まります。


