北京オリンピック 女子フィギアスケートでドーピング問題が話題に
北京オリンピックの女子フィギュアスケートで起こった「ドーピング問題」は、記憶に新しいのではないでしょうか。
ロシア ドーピング なぜ起こったのかと、気になっている方のために説明しておくと、フィギュアスケートの団体戦に出場したロシアのカミラ・ワリエワ選手から、狭心症を防ぐ薬物「トリメタジジン」が検出され、暫定的な資格停止処分となったことに端を発しています。
選手側が資格停止処分解除を求めて提訴し、最終的には女子シングルへの出場が認められましたが、ワリエワ選手は思うような結果が残せませんでした。金メダルも期待されていた選手でしたが、事件発覚後は報道陣に注目され、精神的な負担が大きかったものと思われます。
ドーピングはなぜやってはいけないのか
中には「ちょっとした薬を飲んだくらいで」と思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、ある種の人工的に作られた体で競うことが本当に競技と言えるでしょうか?
スポーツにおいては、すべての競技者が公平である必要があり、一部の選手が禁止薬物を服用して筋力アップなどした場合は競技の公平性が保てなくなります。また、アンチ・ドーピング活動は、単に公正性を求めるだけでなく、選手が競技に真剣に向き合った環境を作るための活動の一貫でもあります。競技者が真剣に競技に取り組むからこそ、オリンピックのような感動が生まれるのです。
ドーピング問題がおこる背景
ドーピングが発覚すると、報道で大きく取り上げられるだけでなく、出場停止になったり、国家のとしての権利を剥奪される恐れがあります。では、一体なぜ、そんなリスクを背負ってまで今回のワリエワ選手のようなドーピング問題が起きるのでしょうか。
ドーピングを行うには次のような理由があります。
- 高額な報酬
- 勝利主義
- 組織的な不正
- メディア
それぞれについて詳しく説明していきます。
高額な報酬
オリンピックでメダルを取ると国から報奨金が支払われます。
日本の場合、北京オリンピックで金メダルを取ると500万円の報奨金が支払われます。
他の国と比較してみると、シンガポールは8,480万円、カザフスタンは2,880万円、マレーシアは2,710万円と高額な報奨金を手に入れることができます。
報奨金以外にも年金や住居などを選手に贈る国もあり、発展途上国で成功すれば家族の生計も助けることが可能となるケースがあります。
このような多額の報奨金がドーピングを助長しています。
勝利主義
トップ アスリートになると勝つことを求められます。
アメリカのオリンピック代表選手たちを対象に「絶対に捕まらないことを条件として、ドーピングするか」と質問したところ、半数以上が「やる」と答えたそうです。
陸上界を例に挙げると、過去にはベン・ジョンソン、ケリー・ホワイト、ジャスティン・ガトリン、マリオン・ジョーンズ、タイソン・ゲイなど数々の有名選手たちがドーピング検査に陽性反応となっています。
アメリカは陸上大国のため、代表になるには相当なプレッシャーがあるに違いありません。
勝たないといけないというプレッシャーが薬物を使用させるのかもしれませんね。
組織的な不正
組織的な薬物使用といえば、ロシアを思い出す方が多いのではないでしょうか。
一番最初に大きな問題となったのが2019年12月9日。ロシアはドーピングに関するデータを組織的に改ざんしたとして、IOCから4年間の追放処分を言い渡されました。
そのため、オリンピックでは「ロシア」という国ではなく、「ROC(ロシアオリンピック委員会)」として出場しています。
では、どういった改ざんが行われてきたのでしょうか。
きっかけは、2013年の世界陸上モスクワ大会までさかのぼります。
薬物を使用したロシア選手の尿検体はOKと判断し、他国の選手をNGと判断しました。また、大会後にロシア選手の尿検体をすり替え、別の機関で検査しても検出されないよう改ざんしました。
世界大会は競技者同士の競い合いでもありますが、国の代表として競います。
他の国よりも多くのメダルを取りたい気持ちが、このような組織的なドーピング問題を引き起こしたのではないでしょうか。
メディアに取り上げてもらうためには勝つ必要がある
メディアにとって、スポーツは視聴率が取れるネタの1つです。
スポーツ側としてもメディアで取り上げてもらえば人気が出るので、スポーツとメディアは切っても切れない関係です。
メディアで取り上げてもらうには勝つ必要があり、金メダルを獲得すれば、テレビ出演も増えます。
このようにメディアとスポーツの関係性が、勝利主義と結びつきドーピングを誘発させてしまう可能性があるのです。
まとめ
この記事ではスポーツのドーピング問題について解説しました。
ドーピングは選手人生をダメにするだけでなく、国としての信頼や競技の公平性、スポーツの本質を損なうことになります。
今回の北京オリンピックではドーピングが大きな問題となりましたが、7月の世界陸上や次回のパリ五輪では、競技に向き合う各国の選手たちの姿が見たいですね。